新型コロナウイルスワクチン接種:ワクチン筋注の具体的な方法について(2)

(前回記事からの続きです)

 

肩の三角筋にワクチンを筋注する場合、注意しなければならない合併症は、

 

  • 三角筋の下を走行する腋窩神経の損傷
  • 三角筋の外側を走行する橈骨神経の損傷
  • 三角筋の表面、肩峰の近くに存在する、三角筋下滑液包の損傷
  • 抗血小板薬や抗凝固薬を内服している人への筋肉内血種

の4点です。

 

これらの内、上の3つに関しては、接種時の姿勢、接種部位の正しい同定が重要です。そのため、日本プライマリケア連合学会は、三角筋筋注の動画をYouTubeで公開しています。

 

https://www.youtube.com/watch?v=TwoMs0BjIdk

 

この方法のもとになった資料は、奈良医科大学の整形外科の先生が作成したものです。以下です。

https://www.naramed-u.ac.jp/~resident/medical07_manual.htm

 

さらに、肩関節専門の整形外科の先生が、わかりやすく解説している動画もあります。

 

https://www.youtube.com/watch?v=kEnZ_dTSAmE&t=21s

 

この、日本プライマリケア連合学会の方法は、厚生労働省ホームページにも記載されているので、ある種・・・「認められた方法」と、考えても良いかもしれません。

 

しかしながら、日本プライマリケア連合学会推奨の接種部位は、高さは腋窩ひだ上縁なのですが、実は、高さについては、米国CDCでは「肩峰より3指幅下」を推奨しており、日本医師会も「肩峰より3横指下」を推奨しています。

https://www.med.or.jp/dl-med/kansen/novel_corona/sokuho/20210226vaccine05.pdf

 

この、「3横指下」という位置は、より広い地域で行われ、日本プライマリケア連合学会や奈良県立医大よりも遥かに大きい団体であるCDCや日本医師会が推奨しています。

 

そのため、もし、「筋注による合併症」が起きた場合の法的問題や救済制度の適応を考慮すると、「3横指下」の接種の方が、「法的には安全」かもしれません。

 

そこで、今回、中島医院としては、以下のように行う予定です。

 

  • 日本プライマリケア連合学会が推奨する位置とその理由について、十分理解し、合併症を来すような部位に対する理解を十分深める。
  • 上肢は下した状態にする(橈骨神経を傷害しないため)。
  • 肩峰より3横指より上には接種しない(滑液包を障害する恐れがあるため)。
  • 肩峰より3横指下に接種するが、三角筋の中央が3横指より下ならば、中央を接種点にする。

 

先日、菅首相が接種した際も、上記と同様の方法で接種しているように見受けられました。また、千葉大学病院もこのような方法で行っているようです。

https://www.youtube.com/watch?v=ptJ_Lgy0AKg

 

接種を受けられる方で、心配や疑問がおありならば、遠慮なく中島医院城田に相談して下さい。